Travelニュースに鳥取砂丘の記事が掲載されていましたのでご紹介致します。

有名な観光地は日本にも数多いが、海外のメディアが隠れたスポットとして推すのが鳥取砂丘だ。複数のメディアがまるでアラビアンナイトの世界と例えるように、荘厳な光景が海外メディアの記者たちの心を打つ。将来的には外国人向けのメジャーな観光地に育てる計画も政府にあるようだ。実は砂丘は縮小の危機に瀕しており、海外の記者たちは今のうちに訪れるべき必見の場所としてプッシュしている。

◆ふつうの砂漠とは違う! 鳥取砂丘ならではの魅力
砂漠といえばサハラが有名だが、日本の鳥取砂丘もユニークさで引けを取らない。乾燥地帯でもなく暑くもない地域の砂丘は珍しく、周囲の豊かな自然の中、忽然と現れる不毛の大地が驚きを呼んでいるようだ。カナダのモンテクリスト誌は、「まるで物理的にカットアンドペーストの操作をして、緑の繁る沿岸に四角い砂漠をポンと置いたかのよう」と表現する。そのコントラストは「別世界か神話のよう」と賛辞を送る。

ひとたび砂丘に足を踏み入れれば、日本とは思えない別世界が広がる。ニューヨーク・タイムズ紙が雄大なサハラ砂漠に例えるほか、ナショナルジオグラフィック誌もまるでアラビアンナイトの世界と表現するなど好評だ。東西16kmに渡る砂丘は、一般に立入りが許可されたものとしては日本最大で、都会的なビルの並ぶ日本のイメージをいい意味で裏切っているのだろう。

緑の中の砂地というユニークな景観だが、これは自然に生まれたものだ。ナショナルジオグラフィック誌によると、千代川(せんだいがわ)が運ぶ砂が強い沿岸流で押し戻され、さらに強風で陸側へと運ばれ砂丘が形成されたという。数千年も前にこうして砂が堆積し、今日ではアメリカやカナダのメディアも注目する珍しい砂丘が誕生した。

◆現状では「穴場」だが、外国人観光客へのアピールも
砂丘では、パラグライダー、砂丘登り、スノーボードならぬ「サンドボーディング」やラクダと馬車の試乗など、多くのアクティビティを楽しむことができる。魅力いっぱいの鳥取砂丘だが、ニューヨーク・タイムズ紙によると、鳥取県の観光魅力度は47都道府県中43位と振るわない。新幹線がなく、アクセスに難があるとの分析だ。

同紙の別の記事は、国際的な知名度を上げる取り組みとして、砂丘に隣接する『砂の美術館』を取り上げている。毎年海外からアーティストを招き、砂の彫像を製作・展示しており、言うなれば雪祭りの砂丘版だ。今年は19ヶ国からサンドアーティストが参加した。テキサスからのある参加者は、砂の質はもちろんのこと、世界中の芸術家とコラボできる環境に興奮した様子だ。政府は東京・富士山・京都・大阪などを結ぶ日本旅行の「ゴールデンルート」を鳥取県周辺などにも拡大したい考えで、砂の美術館の取り組みが寄与する可能性もあるだろう。

米旅行誌『コンデナスト・トラベラー』も日本の魅力は東京と京都だけではないと断言している。また、日本は安全で接客態度も非常に良いことから、海外からのリピーターが多い国として定評がある。特に有名どころを一通り見た2度目以降の訪日客にとって、砂丘は必見のスポットとなるかもしれない。

◆砂丘を楽しめるのは今のうち?
知名度アップに向けて期待が高まる鳥取砂丘だが、モンテクリスト誌は規模縮小の危機を告げている。過去50年間で40メートルほど後退しており、周囲の植物が砂丘側に成長してくることが原因のようだ。コンデナスト・トラベラー誌も、今のうちにぜひ見ておくよう勧めている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ボランディアによる除草作業のほか、海底から砂を運び戻すなど、懸命な保全活動が行われているとのことだ。

日本の名所の一つである鳥取砂丘が縮小していることは残念だ。海外旅行者の間に定着すれば、保全活動もさらに活性化できるかもしれない。モンテクリスト誌によると、日中に人間がつけた無数の足跡は夜の間に風が綺麗に洗い流し、早朝までには美しく荘厳な砂丘が再び姿を現すという。このサイクルがいつまでも続くように願いたい。

Text by 青葉やまと